【法人向け】固定電話のコスト削減|担当者がまず確認すべき無駄と見直しの手順

固定電話のコストは、見直すと削減余地が残っているケースが多い領域です。

一方で、「高い気はするが、どこに無駄があるのか分からない」という状態のまま、長年同じ契約を続けている企業も少なくありません。

固定電話は、回線・PBX・番号といった複数の要素で構成されているため、全体像を把握しにくいコストです。その結果、未使用の番号や過剰なチャネルなど、気づきにくい無駄が残りやすくなります。

本記事では、固定電話コストが高くなる典型的な原因と、どこを見れば無駄を特定できるのかを整理し、実務で使える見直し手順を解説します。

固定電話(固定通信回線)コストとは

固定電話コストは、通話料だけで構成されているわけではありません。

主に以下の費用で構成されています。

分類 内容
回線費用 ・基本料金
・通話料
・チャネル
PBX費用 ・構内交換機費用
・クラウドPBX利用料
機器費用 ・電話機
・ネットワーク機器
保守・運用費用 ・保守費用
・運用管理費

※PBX:外線と内線をつなぐ電話の中枢。代表番号にかかってきた電話を各部署へ振り分けるなど、社内の通話制御を担う。

現在は、回線のIP化とPBXのクラウド化が進んでおり、この構成の違いがコストに大きく影響します。

固定電話コストの構成図(回線・PBX・番号・運用費用)

固定電話のコストが高くなる理由

構成が複雑で、全体が把握されていない

固定電話は、回線、PBX、番号が別々に管理されることが多く、契約内容の全体像が見えにくくなります。

よくある状態として、以下が挙げられます。

  • ・拠点ごとに契約した回線がそのまま残っている
  • ・番号と回線の紐づきを説明できる担当者がいない

この状態では、不要な契約が整理されず、無駄なコストが発生し続けます。

回線方式が混在している

SIP、ひかり電話、アナログ回線など、複数の回線方式が混在しているケースがあります。

例えば、

  • ・拠点ごとに異なる回線を利用している
  • ・古い回線契約が残っている

といった状態です。

回線方式が統一されていないと、コストの最適化が進みにくくなります。

番号とチャネルが過剰になっている

固定電話コストの中で、最も削減余地が出やすいポイントです。

よくある例として、

  • ・使われていない番号に毎月費用が発生している
  • ・最大同時通話数に対してチャネル数が多すぎる

といったケースがあります。

判断の際は、以下を確認します。

  • 3ヶ月以上使用されていない番号がないか
  • ピーク時の同時通話数とチャネル数が適正か

この2点を確認することで、削減可能な領域が見えてきます。

一度増やした契約が残っている

一時的な対応で増やした契約が、そのまま維持されているケースです。

例えば、

  • ・繁忙期に増やしたチャネル
  • ・廃止した部署の番号

こうした契約は、使われていなくても固定費として残り続けます。

比較が行われていない

固定電話は価格の透明性が低いため、比較しない限りコストが適正か判断できません。

よくある状態として、

  • ・長期間同じ業者と契約している
  • ・見積条件が揃っておらず比較できていない

といったケースがあります。

固定電話のコストが見えにくい理由

請求書だけでは内訳が分からない

請求書では総額は把握できますが、どの要素にどれだけコストがかかっているかまでは分かりません。

例えば、

  • ・回線費用が高いのか
  • ・PBX費用が高いのか
  • ・不要な番号やチャネルが残っているのか

といった判断がしにくくなります。

総額だけでは、どこに無駄があるのか特定できません。

管理が分断されている

回線は総務、PBXは情報システム部門といったように、管理が分かれているケースがあります。

その結果、

  • ・誰が全体を把握しているのか分からない
  • ・契約変更時の経緯が残っていない
  • ・不要な契約が放置される

といった状態になりやすくなります。

管理が分散すると、全体最適での見直しが難しくなります。

単価だけで判断している

通話料など一部の単価だけで判断すると、全体コストの最適化にはつながりません。

例えば、

  • ・通話料は安いが基本料金が高い
  • ・回線費は安いがPBX保守費が高い
  • ・クラウドPBX移行で全体コストは下がる余地がある

といったケースがあります。

固定電話は「単価」ではなく、構成全体で判断することが重要です。

見直しが必要なサイン

以下に該当する場合は、見直しを検討する必要があります。

  • ・回線構成を説明できる人がいない
  • ・5年以上同じ構成を使い続けている
  • ・オンプレミスPBXを利用している
  • ・番号やチャネル数を把握していない

固定電話コスト削減の考え方

全体でコストを捉える

回線、PBX、運用を個別ではなく、全体として捉えることが前提です。

PBXを軸に構成を考える

オンプレミスPBXかクラウドPBXかによって、コスト構造は大きく変わります。

番号とチャネルを優先的に見直す

固定費に直結するため、最初に確認すべきポイントです。

同一条件で比較する

回線方式、通話量、チャネル数などの条件を揃えた上で比較する必要があります。

固定電話コスト削減の手順

STEP1 現状を分解する

まず、「どこにいくらかかっているのか」を分解して整理します。
この段階で全体像がつかめていないと、後の判断ができません。

確認するのは、次の3つです。

分類 確認内容
回線 ・回線種別(ひかり電話、SIP、アナログなど)
・チャネル数(同時に通話できる回線数)
・基本料金
番号 ・現在使っている番号(代表番号、部署番号など)
・使われていない番号がないか
通話 ・月間の通話量(どれくらい使っているか)
・同時通話数(ピーク時に何回線使っているか)

ここでのポイントは、「請求書だけで判断しないこと」です。

請求書に加えて、PBXの設定画面・通話明細も確認し、「契約」と「実際の利用」が一致しているかを見ます。

STEP2 無駄を特定する

STEP1で整理した内容をもとに、無駄がないかをチェックします。

特に確認すべきポイントは以下です。

  • ・未使用の番号が残っていないか
     →3ヶ月以上使っていない番号は見直し対象
  • ・チャネル数が多すぎないか
     →ピーク時の同時通話数と比較して判断
     (例:最大5回線しか使っていないのに10チャネル契約している)
  • ・回線方式がバラバラになっていないか
     →拠点ごとに異なる回線を使っている場合、統一できる可能性あり

このステップでは、完璧に把握するよりも「削減できそうな箇所を見つけること」を重視します。

STEP3 構成を見直す

無駄のあたりがついたら、構成そのものを見直します。

主な見直し内容は以下の通りです。

  • ・クラウドPBXへの移行
     →保守費や設備費がかかっている場合は検討対象
  • ・回線方式の統一
     →拠点ごとのバラつきをなくすことでコストを最適化
  • ・不要な番号の削除
     →未使用番号は優先的に整理
  • ・チャネル数の適正化
     →実際の同時通話数に合わせる

個別に最適化するのではなく、全体で見直すことが重要です。

一部だけ変更すると、かえってコストが増える場合があります。

STEP4 見積を比較する

見直し後の構成をもとに、複数の事業者から見積を取得します。

このとき重要なのは、同じ条件で比較することです。

そろえるべき条件は以下です。

  • ・回線方式
  • ・チャネル数
  • ・想定通話量
  • ・番号構成

評価する際は、単価ではなく以下を見ます。

  • ・月額の総コスト
  • ・初期費用(工事費など)
  • ・契約期間や違約金

可能であれば、現在の通話実績を当てはめて試算すると、より現実に近い比較ができます。

STEP5 導入後の見直し

導入して終わりではなく、定期的に以下を確認します。

  • ・利用状況(通話量、同時通話数)
  • ・使われていない番号や回線がないか

固定電話は、運用を続ける中で少しずつ無駄が増えやすいコストです。

半年〜1年に一度は見直す前提で運用するのが現実的です。

固定電話コスト削減チェックリスト

  • ・未使用番号がないか
  • ・チャネル数が過剰でないか
  • ・回線構成が整理されているか
  • ・PBXが更新されているか

いずれかに該当する場合、見直し余地があります。

削減効果の目安

構成や利用状況によりますが、以下が一般的な目安です。

  • ・番号、チャネルの最適化:5〜10%
  • ・PBX見直し:10〜20%
  • ・回線見直し:5〜10%

複数施策を組み合わせることで、20%前後の削減につながるケースがあります。

固定電話のコスト削減でよくある失敗

構造を理解せずに見直す

構成を把握せずに変更すると、運用負荷やコストが増加する場合があります。

単価だけで判断する

通話料だけを見て判断すると、全体として割高になるケースがあります。

品質を考慮していない

クラウドPBXではネットワーク品質の影響を受けるため、事前検証が重要です。

固定電話のコスト削減を効率化するには

ここまで見てきたように、固定電話コストの削減は「構成を理解し、適切に見直す」ことで実現できます。

一方で、回線やPBXの整理、利用状況の把握、見積比較など、実務としては一定の手間がかかるのも事実です。

特に、回線構成の整理や比較条件の統一に慣れていない場合、そのまま高コストな状態を維持してしまうケースもあります。

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