入金消込の全て。入金消込の基本からプロが教えるコツまで徹底解説!
ビジネスの中で、売上を上げることが最も重要だと思われがちですが、実際には売上金を正確に回収し、適切に管理することが成功の鍵となります。
本記事では、起業したばかりの経営者や、請求業務を効率化したい経理担当者の方に向けて、入金消込業務の流れから入金消込を自動化する方法まで詳しく解説します。
入金消込とは?
入金消込とは、発行した請求書と顧客からの入金を照合して入金の確認を行う業務です。
スムーズに確認ができればよいのですが、未入金や不足による翌月への繰り越し、過入金の返金や取引先とのやり取りなど、件数の増加に伴い負荷が大きくなっていきます。
しかし負荷がかかるのは経理の一部メンバーに限定されるので、なかなかシステム投資の優先順位が上がらず、非効率なままになってしまいがちな業務です。
入金消込の基本的な流れ
ステップ1:入金データの取得
インターネットバンキングから入出金明細をCSV形式でダウンロードし入金の一覧を用意します。
入金データには振込人名や金額、振込日などの情報が含まれます。
ステップ2:請求書データとの照合
取得した入金データと、発行済みの請求データを見比べながら照合します。
照合は振込人名と金額を頼りに行いますが、入金データの振込人名はカナ表記で、顧客名は漢字表記のため変換しながら照合する必要あります。
また複数の請求が1本で入金されてくる場合は金額を合算して照合したり、振込手数料の考慮をしながらの作業が必要になります。
入金が確認できたものは入金データと請求データの双方を確認済みと分かるようにします。
ステップ3:照合が出来なかったデータの処理
照合ができないケースは下記の4つに整理されます。
ケース1:請求に対して対応する入金が見つからなかったもの
以下のようなメール文面で得意先に対して入金確認の連絡をします。
本文:
いつもお世話になっております。invoxサポートチーム●●です。
表記の件につきましてご連絡いたします。
先日お送りさせていただいた下記の請求書についてご入金の確認ができておりません。
・件名 :●●
・請求番号:●●
・請求日 :●●
・支払期限:●●
・請求金額:●●円
まだ振込を行われていない場合は、ご手配の上、
本メールへの返信でご入金日をご連絡いただけますと幸いです。
また、すでにお振込みいただいている場合は、
お手数ですがご入金日とお振込元の名義をお知らせいただけますようお願いいたします。
何卒よろしくお願いいたします。
[署名]
ケース2:請求に対して入金額が多かったもの
以下のようなメール文面で得意先に対して入金額の内訳確認を行います。
本文:
いつもお世話になっております。invoxサポートチーム●●です。
●月ご利用分のサービス利用料のお支払いにつきまして、以下のご入金を確認いたしましたが、
請求金額より●●円多くお振込いただいているようです。
yyyy年m月d日 △円のご入金
(●月ご利用料金 ***円)
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認いただけますでしようか。
過入金の場合には振込手数料を差し引いて返金いたしますので、
返金先の口座情報をご連絡くださいませ。
銀行名:
支店名:
口座種別:
口座番号:
口座名義(カナ):
どうぞよろしくお願いいたします。
[署名]
差額が少額の場合は、次回の繰り越し金にするなどの対応も選択肢の1つです。
本文:
いつもお世話になっております。invoxサポートチーム●●です。
表記の件につきましてご連絡いたしました。
●月●日にinvoxのご利用料金のご入金を確認いたしました。
ご入金ありがとうございました。
確認しましたところ、●円多くご入金いただいたようです。
こちらは繰り越しとさせていただきますので、
●月末のお振込みの際に、●円を相殺した金額にてご入金いただけますでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。
[署名]
ケース3:請求に対して入金額が少なかったもの
以下のようなメール文面で得意先に対して入金額の内訳と入金確認の連絡をします。
本文:
いつもお世話になっております。invoxサポートチーム●●です。
表記の件につきましてご連絡いたします。
2024年●月末支払期限のinvoxのご利用料金のご入金を確認いたしましたが、
ご利用料金 〇〇円
ご入金額 〇〇円のため、●●円不足しておりました。
差額の●●円につきまして、振込手数料は御社ご負担のうえ、お早めにお振込みいただけますでしょうか。
また、本メールに対してご入金日をご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
[署名]
ケース4:入金に対して対応する請求が見つからなかったもの
社内で請求情報の登録が漏れている可能性もありますので、よく確認をしましょう。
誤った入金であった場合は、入金した相手方に連絡し入金額の内容確認を行います。
ただし、振込人名だけでは連絡先が判断が付かない場合もあります。
メールに対して返信がない場合は、電話する等、状況確認を怠らないようにすることは、地道ですが売上管理に必要な業務になります。
入金消込を効率化するためのツール
Excel / Googleスプレッドシート
ExcelやGoogleスプレッドシートは初期コストがかからず、多くの企業で使用されています。
請求書と入金データをならべて手動で照合するほか、マクロやGoogle Apps Scriptを組むことで、一部の作業を自動化することも可能です。
クラウドサービス
クラウド会計や、請求書の発行と入金消込がセットになっているサービス、入金消込に特化したサービスが存在します。
オンラインバンクから入金明細を取り込んで消込までを自動化できますので、効率的かつ正確に入金消込を行えます。
バーチャル口座の利用
バーチャル口座は請求毎や取引先ごとに入金用のバーチャル口座を用意し、請求書に記載する口座を分ける事で効率的かつ正確に入金消込を行う仕組みです。
事前に銀行へのバーチャル口座の申し込みが必要になるのと、口座変更時には得意先への通知が必要な場合もありますので、長期的に変更が入らないような口座の割り当て設計など導入時は注意が必要です。
上記のほか、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が提供する全銀EDIシステム(以下「ZEDI」という。)を利用するという手法も考えられます。
ZEDIについては全銀EDI(ZEDI)入門のページをご覧ください。
入金消込の注意点
実際の入金消込で発生する悩ましい事例について紹介します。
取引内容が途中で切れてしまい取引先が判別できない
取引内容が「コウエキザイダンホウジン」等の法人格や、社名の途中で切れてしまった場合など、取引先が判別できない場合があります。
銀行から何らかのサービスを経由して入金明細取得している場合に発生する事があり、直接銀行の画面から確認すると社名まで確認できる場合があります。
カナの取引内容からは取引先が一意に識別できない
同名の会社や、漢字表記は違っていてもカナにすると同じ表記になってしまう場合など、取引内容からは取引先が一意に識別できない場合があります。
金額で判断が付けばよいのですが、金額まで同じ場合は判断がつかないケースもあります。
振込手数料が差し引かれており金額が一致しない
請求書に「振込手数料はご負担ください」等の記載をしても手数料が引かれて振り込まれる場合があります。
手数料らしきものが引かれて入金された場合、先方に入金金額の不足として入金を促すのか、こちらで負担するのかなどルールを決めておく必要があります。
まとめ
入金消込は、ビジネスのキャッシュフロー管理において非常に重要なプロセスです。
人が見ても判断が付かないケースもあり、全てを自動化する事は難しいですが、基本的な流れを理解し、適切なツールを活用することで効率的に行えます。
自社にあったツールを活用し正確かつ効率的な入金消込を実現しましょう。